1970年代末に人類学を学び始めて、80年代半ばよりオセアニアのフィジーを中心に本格的な調査をおこなってきた。フィールドワークの主要なテーマは、経済(80年代)、歴史(90年代)、医療(ゼロ年代)と変わっている。一貫して惹かれるのは、ひと言でいえば説明しがたいもの、説明の仕方がシッカリ用意されていても、どこかおかしなもの、である。とくに現在は、ジェンダーと贈与がどうやってつながるのかを研究している。少なくても私にとって人類学の魅力は、頭の良さでなく悪さを引き出すことにある。まだるっこしい解説や整理しきれない事例をずらずらと引き連れて、うろうろしている人に出会う確率が、おそらくこの学問ではもっとも高い。「人類を学ぶ」姿勢として、ふさわしいのかどうかはわからないが。
キーワード
経済人類学、自然と文化、宗教とサイエンス、フィジー、贈与とジェンダー、フィクション