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それが自己の投影でないという保証がない以上、どこまで遠くに出かけても真の他者などいるのだろうか? 人類学という学問に出会った当初、私はそう感じていました。むしろ、「自分の傍らにある他者」を探りだすのが先決ではないか。そう考えて、ペット型ロボット・AIBOを「飼う」人々への参与観察をはじめ、馴染み深くもどこか奇妙な、日本の「ロボット」をめぐる科学的/文化的実践を研究してきました。でも、並行して「インドのシリコンバレー」と呼ばれる都市、バンガロールに暮らすITワーカーたちの調査をはじめ、日本とインドを往復しながら研究を進めるうちに考えは次第に変わっていきます。他者に投影した自己が自ら思いもよらぬ仕方で変ってしまう、その運動の只中で自他のはざまに言葉を置いていく。異国でも母国でも、やれること・やりたいことに違いはないのではないか。
グローバル化の中で自分とは異なる他者を尊重することが奨励される現代において、しかし、他者の尊重とは、一定の距離を置き部分的に関係を切り離すことにもつながっています。フィールドワーカーが全面的に他者の内側に入り込むことなどありません。でも、つながりながら分断される世界のなかで無視されてしまう思いもよらぬ結びつきを探りだし、言葉にしていく。そこに、現在における人類学の面白さがあると考えています。

キーワード

ロボット、インドIT産業、AI、科学技術社会論、技術と神話

業績・担当科目など

http://www.soc.hit-u.ac.jp/teaching_staff/kubo_akinori.html